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風景をデザインする ―

ランドスケープ設計

“ オオバとの仕事 その楽しさとは ”

風景をデザインする 讃井 浩太 氏

三井不動産 ビルディング本部 法人営業統括一部 法人営業グループ 主事
讃井 浩太 氏

2009年以降、オオバは三井不動産株式会社からの委託を受け、千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅周辺の業務に従事してきた。中でも、2011年から始まった柏の葉アクアテラス(北部中央二号調整池)の高質化事業はその中核をなすものであった。今回は、2015年から三井不動産株式会社柏の葉まちづくり推進部で、柏の葉アクアテラス担当としてオオバとともに高質化業務に従事した讃井浩太氏に話を伺った。

※記事中の所属・役職は取材当時(2022年12月)のものです。

柏の葉アクアテラスの事業化経緯とは

柏の葉アクアテラスの事業化経緯とは 讃井 浩太 氏

「当時から、弊社も含めた、地域の公・民・学の組織が連携し柏の葉キャンパス駅周辺エリアで環境共生・新産業創造・健康長寿という3つのテーマに沿ってまちづくりを進めていました。柏の葉キャンパス駅前周辺の開発が2014年のゲートスクエアのオープンで一段落したため、駅北側の25haをイノベーションキャンパスと位置づけ、まちづくりを開始しました。その中心に二号調整池がありましたが、高質化以前は1.8mのフェンスで囲まれ草が生い茂るなどの状態でした。そこで、二号調整池をキレイな親水空間に変えて暮らしの質の向上につなげてはどうだろうかということでUDCKさんなどと検討を始めたというのが高質化事業の立ち上がりの経緯です」。
しかし、前例のない先進的な取り組みには各方面との調整など苦労も多い。そこでのオオバの仕事ぶりとはどのようなものだっただろうか。

画期的だった二号調整池の親水空間化

「最大の課題は安全面の確保に関する行政との調整でした。たとえば、調整池は雨が降ると水が流入してくるので、危険回避のために(法面(のりめん)の最上部付近が)高さ1.8mのフェンスで囲われ、その高さが守られてきました。それに対して私たちは、フェンスの高さを1.1mまで低くし、降雨時の警報装置の設置やゲートの開け閉め等に関する厳格な運用ルールを定めることなどで、調整池の景観と安全を確保した上で、人々が水辺にまで下りて親水空間を楽しめるようにできる提案を行ったわけです。オオバさん(以下、オオバ)は雨水調整池の事例をたくさんご存知なので、他の調整池ではどのような安全対策を行っているのかも調査し、二号調整池ではどうすれば安全を確保できるかということについて、技術的な裏付けをもってサジェスチョンしてくれました。
そもそも行政の理解が得られないと着工できないという状況でしたので、大雨が降った時には調整池に水が流入するのに何分何秒かかるのか、では何分以内に逃げれば大丈夫かといった緊急時の想定も含め、オオバを中心にデータを積み上げていきました。行政との合意形成にこぎつけたのはオオバの情報量と技術力あってのことです」。

完成直後に起きた想定外の出来事とは

完成直後に起きた想定外の出来事とは 讃井 浩太 氏

チーム一丸となった取り組みの甲斐あって、柏の葉アクアテラスは、2016年11月に無事オープンした。ところが、その直後思いもよらない出来事が発生する。
「調整池の出口に藻が詰まって遊歩道が全部水没してしまいました。業者さんを手配する時間もなかったので、私とオオバの担当者が、ウェーダー(胴付水中長靴)を着て調整池に入って手作業で藻を掻き出しました。その結果、水は流れ始めたのですが、それでも、周りの遊歩道に少し水がかかっていました。調整池の入口・出口や遊歩道の高さは綿密な計算を行って決めているのですが、どうやらその計算が少し合っていなかったようでした。そこで、オオバの担当者に計算し直してもらい、行政との再度の調整を経て水の出口を削って水の通りをよくする工事を行い解決しました」。
その後も、法面(のりめん)から絞り水が出たり、藻で噴水が止まったり…と予期せぬ出来事が発生したが、ひとつひとつ克服していったという。

営業的センスを併せ持つ技術者集団

讃井氏は今回の協業を通じて、オオバを次のように評価する。
「二号調整池高質化事業は、UDCK、柏市や区画整理事務所、設計者の日建設計、施工者の熊谷組など各利害関係者との調整がスムーズに行ったことで成功裡に終わったと言えますが、その点でのオオバの貢献は大きいと思います。オオバは、優秀な技術者集団・職人集団ですが、それと同時に、それを束ねる担当責任者には、技術者でありながら営業的なセンスというか、それぞれの利害に目配りできるトータルプロデュース力を持ち合わせた人物がいらして、それゆえに各種調整が非常にうまくいったのだと考えています」。